デリヘルやソープ、ヘルスなどの風俗店で、盗撮がばれたり本番トラブルを起こすと、様々な理由をつけて多額の損害賠償や慰謝料を請求されることがよくあります。

このページでは、損害賠償や慰謝料の法的な意味や、風俗店や風俗嬢から要求される賠償金の種類とそれの支払義務、要求された時にどう対処すればよいのかを解説していきます。

風俗トラブルでの損害賠償と慰謝料に関する法律

損害賠償とは

民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

風俗トラブルに当てはめると、わざとや過失で風俗店や風俗嬢に損害を与えた場合には、賠償する責任がありますよという規定です。

慰謝料とは

民法710条(財産以外の損害賠償))
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

709条で責任を負うとされた者は、財産的損害以外の損害(精神的損害)についても責任を負いますよという規定です。例えば、盗撮されたショックで風俗嬢が精神的傷を負った場合にはその責任も負わなければならないということです。

損害賠償と慰謝料の使い分け

民法709条でいうところの、「損害賠償」は、財産的損害と精神的損害を合わせ持ったものであり、710条で、改めて精神的損害の賠償についても規定している形になります。

しかし、今後、風俗店から要求される金銭について解説するにあたり、財産的損害と精神的損害を分けたほうが理解しやすいことから、財産的損害を損害賠償、精神的損害を慰謝料と定めて解説していきます。

風俗店から請求される損害賠償の種類と支払義務

①本番や盗撮トラブルで風俗嬢が店を休んだり辞めた時の店の売上の減少

本番行為や盗撮がトラブルに発展してしまい、風俗嬢が怪我をしてお店を休んだり、ショックでお店を辞めたりした場合、風俗店の売上が減ることがあるのは事実です。
また、風俗嬢が店を辞めたことで新たに風俗嬢を募集するさいの広告費用なども損害の一部と言えるでしょう。

しかし、これについては法律上支払義務はございません。

判例上、ある人が会社の社員に損害を与えたことで、その会社に損害が生じた場合には、その社員自身が会社の社長や役員等、会社の運営に密接に関わっているような立場でない限り、会社から加害者への損害賠償が認められていないからです。

つまり、その風俗嬢がお店を経営しているとか、お店の経営に欠かせない重要人物であるというケースはほとんどなく、風俗店からお客への損害賠償は認められません。

②風俗嬢を病院に連れて行った時に店が立て替えた診察代

本番トラブルで風俗嬢が怪我をした場合や、性病検査のために風俗店が風俗嬢を病院に連れて行くことがあります。

その時、風俗店が診察代を立て替えたのであれば、その診察代を損害賠償として支払わなくてはならない可能性はあります。

但し、本番行為につき風俗嬢の同意があり、乱暴に扱ってもおらず、お客が性病も持っていないような場合は損害賠償が認められない可能性が高いでしょう。なぜなら、709条の不法行為責任が生じるには、「故意または過失」が要件として必要だからです。

風俗嬢から請求される損害賠償と慰謝料の種類と支払義務

①盗撮されたことによる精神的ショックと店を休んだり辞めたことによる逸失利益

風俗嬢は全裸で性的サービスを行っているとはいえ、やはりそれを盗撮されると不快な気持ちになるでしょうし、盗撮に気付かなければネットに流失していたかもしれないとの恐怖心を抱くこともあるでしょう。また、盗撮されたショックで店を休むことも、業界に嫌気がさして店を辞める可能性もないとはいえません。

まず、風俗嬢が盗撮されたショックで精神的な傷を負った場合の慰謝料請求ですが、これは認められます。実際に訴訟にまで発展した場合に認められる慰謝料の額ですが、大よそ5~10万円となります。

次に、店を休んだり辞めてしまった場合に、本来働いていたら得られたであろう利益(逸失利益)の損害賠償ですが、これは認められません。

なぜなら、民法709条の不法行為責任では、加害行為(盗撮)と損害(風俗嬢が店を休んだり辞めて稼げるお金が減ったこと)の間に、相当因果関係がなければならないからです。

相当因果関係とは、「一定の原因行為と,それなしには生じないと認められる結果 (因果関係 ) とのつながりが,社会生活観念上も,特異のことではなく通常予想できる程度のものである場合」を言います。

風俗で盗撮したら風俗嬢が店を休んだりやめたりするほどショックを受けるとは、社会一般の人が容易に予見できるとは言えず、相当性に欠ける以上、損害賠償は認められません。

②同意がある本番行為で起きた問題と絡んだ損害賠償や慰謝料

風俗嬢の明確な同意があった場合には、本番をしたことで損害は生じませんが、もし風俗嬢の陰部が傷ついてしまったり、行為の最中で避妊具が外れてしまったり、外に射精するつもりが間に合わず中に出してしまった場合はどうでしょうか。

これについては、風俗嬢は本番行為については同意しているものの、傷を負ったり、中に射精することまで許可していたわけではありません。

とすれば、風俗嬢に傷を負わせたり、中に射精してしまったことについて、お客に故意や過失があった時には、治療費や性病検査、休業補償の賠償責任が生じる可能性があります。また、慰謝料についても同じです。

例えば、乱暴な形で挿入してプレイした場合や、避妊具の付け方を間違っていた場合などは過失ありとされる可能性はあります。もちろんわざとの場合には賠償責任を負います。

しかしこのような場合、過失の度合いによってお客が支払うべき損害賠償や慰謝料の額は変わってきますので、相手方の要求通りの額は支払う必要はありません。

本番行為を許容すること自体、ある程度のリスクが生じることは風俗嬢にも分かっていたはずですので、お客に過失があっても全ての責任を負わされる謂れはないからです。

③同意がない本番行為で起きた問題と絡んだ慰謝料や損害賠償

まず、同意がない本番行為の、「同意がない」の意味が大きく分けて二つに分かれます。

一つは、積極的に同意しない、つまり拒否していたような場合です。

この場合は、状況にもよりますが、強姦罪や強姦致傷罪に問われかねない重大問題です。

参考:風俗での本番や盗撮は犯罪として警察に逮捕されるか【弁護士が解説】

もし、強姦罪に該当するような暴力や脅迫を用いて、拒否する風俗嬢に本番を迫ったのであれば、高額な損害賠償と慰謝料請求が考えられます。

強姦罪は親告罪といって、被害者の告訴があって初めて警察による逮捕もありえるので、告訴をしないことを条件に莫大な金額を要求される事案がほとんどです。

次に、消極的に同意しない、つまり、同意をしたわけではないが、拒否も抵抗も一切なかった場合はどうでしょうか。

この場合は、強姦罪が成立する可能性は極めて低いので、拒否や抵抗していたのに本番をした場合に比べて損害賠償や慰謝料も低額になります。状況によっては全く認められないこともあるでしょう。

風俗店側に慰謝料や損害賠償を支払ってはいけないケース

風俗店や風俗嬢から慰謝料や損害賠償を請求されても、絶対に支払ってはいけないケースがあります。

これを説明するにあたっては、逆に、支払ってもいいケースを説明したほうが早いでしょう。

請求された金額を支払っていいケースは、1つだけです。
「盗撮がばれた時の風俗嬢への慰謝料(5~10万円の範囲)」

盗撮したことは100パーセントお客側が悪いことと、慰謝料の額が5~10万円と相場が決まってますので、それで解決するのであれば支払っても問題ありません。

但し、不備の無い示談書を交わさないと後々トラブルになるので、示談書に盛り込むべき必須条項を確認してから示談を交わすようにして下さい。

参考:風俗の示談の失敗ケース2選と示談書面に必ず盛り込むべき2つの条項

では、その他の場合(請求額が5~10万円の相場を越えているケース)はなぜ、慰謝料や損害賠償金を支払ってはいけないのでしょうか。

まず、これまで説明してきたとおり、風俗店にはせいぜい診察代の立替費用しか支払う義務がありません。しかも、お客側に故意過失があって初めてその診察代の支払義務が生じますし、過失の割合によっても払う額が違ってきます。

しかしながら、言われるがままに、診察代の全額を支払ったり、通常なら払わなくてもよい店の売上の損害などを支払うと、「怒鳴れば金を出す」「脅せばもっと取れる」「法律に精通していないから騙し取れる」等、標的にされて延々と搾取される問題が生じます。

これは風俗嬢についても同じです。
休業補償や診察代、慰謝料など、「あくまでもお客の過失によって支払う割合が変わってくる」のに、請求された金額を、「これで解決するならば」と支払ってしまうと、なおいっそう巻き上げることが出来る者と決め込まれ、余計事態を悪化させることになるのです。

当弁護士事務所では、盗撮トラブルだけでも年間700件を越える相談を受けておりますが、健全な運営をしている風俗店であれば、盗撮がばれた場合に求めてくる慰謝料の額も、民事訴訟で認められる範囲に収まることがほとんどです。

それが、その範囲を越えて多額の慰謝料を請求してくるようなお店は、一度支払っても幾度も金銭を督促してくる可能性が極めて高いのが実情です。

このようなお店は、示談書を取り交わして示談金を支払ったとしても、約束を反故にして嫌がらせを伴う徴収や恐喝行為をしてくることも度々あります。絶対に支払わないでください。

風俗で損害賠償や慰謝料を請求された時の対応方法

さて、安易に風俗店や風俗嬢への損害賠償や慰謝料を支払ってはいけないことを説明してきましたが、では、相手方の請求に対してどのように受け答えすればよいのでしょうか。

ここで、明確に、支払わない旨を伝えるのは得策ではございません。
なぜなら、悪質な風俗店や風俗嬢では、仮に本番行為に同意があった場合でも、「同意がなかったことにして」話を進めてきます。

つまり、強姦されたことにして警察に被害届を出すと騒ぎ立ててくるのです。

実際に強姦罪に該当するような暴力や脅迫をしていなければ犯罪にはなりませんが、風俗嬢とお店が虚偽の申告を警察にすることにより、警察から長時間にわたる厳しい取調べを受けて精神的にも肉体的にも疲弊することになります。

また、その他の被害としては、家族や勤務先に風俗でトラブルを起こしていることを告げ口すると仄めかしてきたり、ヤクザめいた口調で恫喝してくることもよくあります。

かといって、それらが怖いがために安易に請求された損害賠償を支払ってしまえば、脅せばお金を支払う人と看做されて止め処なく金銭を毟り取られることになります。

参考:風俗での恐喝・脅迫

支払ってもいけない、かといって、明確に支払い拒絶してもいけないとなると、どのように対応するのが得策でしょうか。

この場合は、たった一言、「専門の弁護士を間に入れて話をします」と回答してください。

風俗店や風俗嬢は、お客を恐怖と混乱に陥らせ、孤立した状態の人間を徹底的に追い詰めて多額のお金を毟り取ろうとしてきます。

弁護士は民事事件の他、刑事事件も取扱える資格です。
下手にお客を恫喝すれば、逆に自分達が警察に逮捕される可能性も出てきますので、相手方も精神的に怯むことになるでしょう。

風俗トラブルが起きている現場から、当弁護士事務所の弁護士に電話を入れていただいても構いませんし、一旦開放され、損害賠償や慰謝料を用意するよう言われている方や、既に支払ってしまった方も、当弁護士事務所の弁護士にご相談下さい。

当弁護士事務所では、「家族や職場に知られずに迅速に風俗トラブルを解決すること」をモットーとした弁護士集団です。トラブルが起きる前の平穏な状況に、親身に誠実に対応します。

相談する勇気が解決への一歩です。お気軽にご相談下さい。