風俗嬢が悲しそうな顔でぼんやりとしている

風俗を辞めたいのにお店が辞めさせてくれないという相談が多くあります。

入店の際には、「1か月前に言えばやめていいよ」と言っていたのに、いざ申し出ると、「別の女の子紹介しないと許可できないよ。どうしてもというなら罰金払ってね」と言ってきたり、悪質なケースでは、風俗勤務を親や学校、昼間の勤務先などにばらすと脅迫してくることもあります。

風俗店を辞めさせてくれない理由は、『売上が下がる』からです。特に女の子が少ない中小規模の店にとっては、人手不足の中、女の子が退職してしまうのは死活問題に繋がります。この点、女の子を多く抱える大規模の風俗店においてこのようなトラブルが発生するケースは少ないと言えるでしょう。

では、風俗をやめたいのに、あの手この手で強引に引き止められてやめさせてくれなくて困っている女性はどのようにすれば風俗から足を洗うことができるのでしょうか。

法律を有効活用した風俗のやめ方

思ったほど稼げない、彼氏・結婚相手ができた、昼間の普通の仕事に転職したいなど、風俗をやめたいと思う理由は人それぞれでしょう。

しかし、いざお店を辞めようと思って店長にその旨を伝えると、一般の会社では有りえない手段で女の子が退職するのを阻止しようと動いてきます。

そういった風俗店の引きとめ工作にどう対応すれば良いかについてはこの後に詳しく解説しますが、まずは、こういった強引な手段で女の子が退職するのを防ごうとする風俗店をやめる効果的な方法は一つしかないことを頭に入れておいてください。

その方法とは、「この女の子を無理やり働かせたら、自分達が警察沙汰や訴訟など大きな問題に発展してしまうかもしれない」と思わせることです。風俗店が辞めさせてくれないなら、「やめてもらった方が得策だ」と相手に感じさせれば良いのです。

そのために、これから幾つかの法律を交えながら、風俗をやめさせてくれない相手に対してどのように切り返すべきか、法律知識がない人でも分かるように詳しく説明していきます。

法律を活用した風俗のやめ方。ケースバイケース

さて、上では、絶対にやってはいけない風俗のやめ方について説明しましたが、ここでは、店長やオーナーとの話し合いの場で、法律を有効活用して辞める方法を解説します。

悪質な風俗店が女の子をやめさせないために使う手口は違法行為であることが殆どですので、これから紹介するケースとそれに応じた法律をしっかりと理解し、強引な引止めへの対抗策を身につけましょう。

もし、自分の口から説明するのが難しいのであればこの画面を見せるという形でも良いでしょう。ただ、お店の人と話すのが怖いのでそれも無理だと思われる女性もいるとは思います。その時は、弁護士に依頼して全てを任せるのが最善の策となりますので、お気軽にご相談下さい。

やめたいと伝えたら罰金を要求された

Q.風俗店にやめたいと伝えたら、「罰金を払え」といって500万円要求されました。罰金については、面接の時にも言われた記憶があります。やはり払わなければならないのでしょうか?

A.風俗店をやめる時に、高額の罰金を請求された。このようなケースは後を絶ちません。しかし、女の子には風俗店に対して罰金を払う義務はありません。労働基準法16条では、あらかじめ違約金や損害賠償を予定して労働契約を結ぶことはできないと定められています。

労働基準法16条(賠償予定の禁止)
16条は特に押さえておきたい条文です。これは、労働者である風俗嬢が労働契約に反したとしても、違約金や損害賠償を予定してはならないという条文です。

16条では、労働契約に違約金や損害賠償を盛り込んではならないと定めています。ですが、契約時にはそういった話がなかったのに、やめたいと伝えた途端に風俗店側が違約金の話を持ち出してきた場合も、16条を根拠に応じる必要はありません。

よく風俗店では、入店時にこういった違約金の説明がされたり、契約書にも明記されていることがありますが、これは法律に反することで無効ですので安心してください。そもそも、退職することは労働者としての権利であり、違法な行為ではないからです。

店には、「労働基準法16条で、罰金を予定して労働契約を交わすことは法律上無効なので支払いません」とはっきりと拒絶することが大切です。

店側が課す罰金を支払わなくてもよい理由について、詳しくは「風俗店からの罰金請求は拒否!支払が不要な明確な理由を弁護士が回答」に記載しておりますので、参考にしてください。

学校や親に風俗で働いていたことをバラすと脅された

Q.やめたいと相手に伝えたら、「親とか学校とかに言う」と言われ、怖くてやめることができません。なんとか親や学校にバレないようにする方法はないのでしょうか?

A.風俗店で働いていたという事実は、女の子にとっては「一般に公表されたくない」事実といえます。そのため、この事実を本人に無断で他人にバラすことは民事上は、「プライバシーの侵害」にあたり、慰謝料などを請求することが可能です。

しかし、「もし風俗勤務をバラしたら慰謝料請求する」と警告したことろで、店側がそれに怯んで何もしてこない保証はありません。慰謝料請求するには訴訟を起こさなくてはならない場合もあり、訴訟費用や多大な労力を必要とします。

そこで、もし風俗で働いていたことをばらすと脅されたら、「刑法の脅迫罪や強要罪、名誉毀損罪になるので警察に被害届をだします」と伝えましょう。

風俗勤務を人に知られるというのは、名誉を傷つけられると法律上は解釈されるため、ばらすぞ!と脅すことは脅迫、無理やり働かせることは強要、実際にばらされれば名誉毀損として警察に逮捕され罰せられる可能性があります。

次回の出勤日に出勤しないという辞め方をしていいか

Q.働いている風俗店では、出勤したらその次の出勤日を設定しないと帰れません。次の出勤日を設定する前に「やめたい」と伝えましたが、強く脅されて怖くてそれ以上言えませんでした。次の出勤日を決めておいてその日に出勤しないという方法を取っても大丈夫でしょうか?

A.風俗店の中には相談事例のように、次の出勤日を当日伝えるシステムを取っているところもあります。そうすると、次のシフトを決める前に退職の意思を伝えられない限りは、「退職日の1ヶ月前までにやめることを伝える」ということはほぼ不可能です。

そうすると、相談のとおり「次の勤務日を決めておき、その勤務日に出勤せずに飛ぶ」という方法しか方法がなく、労働契約違反になってしまうのではないかという不安があるかもしれません。しかし、相談事例の場合は退職の意思を伝えた時に脅迫行為がなされています。

これは、刑法222条の脅迫罪という犯罪に当たる可能性があります。脅迫されて次の出勤日を設定させられたとすれば、次の出勤日に出勤する義務はないといえるでしょう。

やめるなら今月の給料は払わないと言われた

Q.退職の意思を伝えましたが、「勝手にやめるのだから、今月の給料は払わない」と言われました。最後だと思って頑張ったのに…

A.相談事例では、退職に対する罰として、風俗店から「給与を支払わない」と言われているものと考えられます。しかし、労働基準法24条において、賃金はその全額を支払うように明記されています。

労働基準法24条(賃金の支払)
24条は、賃金の支払いに関する基本的なことを定めています。賃金は、労働者に「直接」「通貨で」「全額を」支払わなければなりません。一部例外もありますが、基本的には風俗店で働いた給料は、保険料や年金などの一般的に控除される額を除いては、全て受け取れる権利があるということです。

店から勧められても店に管理を委託しないことが前提ですが、もし委託している場合は、書面で請求書を送る、支払わない場合は少額訴訟なども視野に入れるなどの対策が必要です。

また、違約金や損害賠償の設定はできませんので、「退職に対する罰」「違約金」という意味で給与を払わないということも違法です。請求しているにもかかわらず風俗店が支払わない場合は法的手段に訴える(少額訴訟などの措置を取る)などの対策が考えられます。

参考サイト:少額訴訟/裁判所

スタッフに脅されて怖くてやめられない

Q.やめたいと伝えましたが、それまで優しかったスタッフの表情が急に変わり、ものすごい剣幕で怒鳴られました。親にバラされたくなかったら大人しく働け、と言われ、怖くて働き続けています。

A.このように、脅迫や精神的に追い詰めることによって人を労働させることは、労働基準法5条によって明確に禁止されています。我慢していても状況が良くなるとは考えにくいため、早めに弁護士に相談してください。

労働基準法5条(強制労働の禁止)
5条では、脅迫や監禁など、精神的に自由を奪ったり、肉体的な移住を奪って強制的に働かせることを禁止しています。

給料をお店に貯金したが払ってくれない

Q.「みんなやってるから」と誘われて、風俗で働いて得た給料をお店に貯金する形にしていました。「やめるときがきたらちゃんと払ってあげるからね」と言われたので信用していましたが、お店はそのお金を支払ってくれません。

A.風俗店が女の子にこのように持ちかけ、給料を渡さずに店で保管するというシステムは少なくありません。もちろん中には給料をしっかり保管し、退職するときに清算してくれる良心的な店もあるでしょう。

しかし、やはり中には「やめて数ヶ月経つのに送金されてこない」などのトラブルが後を絶ちません。こういった風俗店の行為は「強制貯金」とされ、労働基準法18条でしてはならないと定められています。

労働基準法18条(強制貯金)
風俗店には、お店に給料を貯金し、退職する際に一括で支払うという貯金システムを取っているところがあります。しかし、これは18条で禁止されています。もしもそういった貯金の管理を店がする場合には、労働組合を組織して行政官庁に届け出るという手続きが必要です(18条2項)

また、女の子がやめた場合に、こういった貯金名目で風俗店が預かっていたお金を返さないことは、労働基準法23条違反にもなります。

労働基準法23条(金品の返還)
23条は、労働者が退職後に請求したとき、使用者が7日以内に賃金を支払わなければならないと定めています。これは賃金だけではなく、貯蓄などの名目のお金も同じです。

さらに、労働の対価である給与を支払わないことは、労働基準法24条違反にもなります。

風俗を辞めたいという相談と解決の事例

相談事例①:風俗をやめたいと言ったら学校や家族にばらすと言われた

現在大学に通っていますが、就職活動などで忙しくなってきた為、店長にお店を辞めたいと話したところ、「今は人が足りないから困る」と言われました。

風俗店に勤務する際に「1か月前に言えばいいよ」と言われていたので、その事を話したところ、「それなら学校や親に履歴書送りつけるよ」と脅迫されました。警察に相談しようかと思いましたが、逆恨みされて学校や家族にばらされるのだけは嫌なのでどうしていいか悩んでいます。

解決に至った経緯

今回のケースでは、ご相談者様が、家族や学校に風俗店勤務を絶対に知られたくないとのことでしたので、慎重を期して対応しました。

弁護士による店舗関係者への聞き取りの結果、今回の脅迫は店長が独断で行っており、オーナーの指示のもと行われたものでないことが判明したため、弁護士を入れた上でオーナーと話し合いをして、二度と相談者や相談者の周辺の者へ接触しないことを確約させ、履歴書を取り返して女性も無事に風俗を辞めることができました。

相談事例②:風俗店を辞めたいと言ったら罰金を要求された

就職前に聞いた条件(お給料・勤務日数・勤務時間等)と実際の条件が違うため、もうこの風俗店では働けないと思い、辞めたいと話したところ、「3カ月前に言わないとできないないって言ったよね。今すぐやめたいなら罰金払ってもうらうよ」と言われました。

「勤務条件を嘘ついて騙したのはそっちじゃないですか」と反論したところ、「とにかく罰金払わないなら辞めさせないよ。逃げても債権回収の専門の者が必ず取り立てに行くから」と怒鳴られました。警察に相談したのですが、民事不介入と言われ取り合ってもらえませんでした。ヤクザから罰金の取り立てに遭うのじゃないか、家族に連絡が行くのじゃないか怖くて仕方ありません。

解決に至った経緯

上にも書きましたが、勤務条件が実際の条件と違っていた場合、労働基準法15条2項により、直ちに風俗店を辞めることができます。また、当然のことながら罰金を支払う法律的な義務もありません。

しかし、ただ無視するだけでは執拗な嫌がらせの被害に遭う可能性も十分あります。このようなケースで暴力団(ヤクザ)が実際に出てくることはほぼ無いですが、親に罰金の肩代わりを強要するなどの嫌がらせも考えられます。当法律事務所の弁護士が交渉にあたり無事辞めることができました。

※個人情報保護との関係から、内容を一部変更の上掲載しております。